2024年度活動報告 |
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1.2024年度春季生活闘争(賃闘)について
2023春季生活闘争で約30年ぶりの大幅な賃上げを引き出したことからデフレからの脱却、インフレへの転換が見えてきたが、大手企業に比べ物価上昇分や人件費の上昇分を商品価格に転嫁が難しい中小企業は人手不足と相まって厳しい状況にあった。
2024春季生活闘争は、連合集計で約33年ぶりに5%を超える賃上げとなったが、中小企業は大手に追い着かず格差が一層拡大した。物価上昇に見合う賃上げと人材確保の観点から「人への投資」を積極的に求め、労働者の生活維持と拡大を続ける大手企業との格差是正のため月例賃金にこだわった賃上げ獲得を目指す闘争を展開した。同時に働き方改革によるワークライフバランス実現に積極的に取り組んで行かなければならないことを確認した。
私たち労働組合の積極的な行動により、今次春季生活闘争は組合員の期待に応えるとともに社会の一員として堂々と正義の闘いを展開した。 |
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<2024春季生活闘争の集計> |
集 計 |
2024妥結額(率) |
2023妥結額(率) |
主要企業(厚生労働省) |
17,415円 (5.33%) |
11,245円 (3.60%) |
中小企業(都道府県) |
10,712円 (4.01%) |
8,012円 (3.00%) |
三重一般同盟 |
6,078円(5.88%) |
7,819円(3.63%) |
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2.2024年度一時金闘争について |
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(1) 夏期一時金闘争
夏期一時金闘争は、2024春季生活闘争において多くの組合で賃上げが前年を上回る結果となったが物価上昇が続いていることから、年間賃金の水準のさらなる引き上げを求めて、全精力を結集し闘争を展開した。
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@闘争方針の策定
2024春季生活闘争方針を基準に、要求基準、闘争日程等の2024年度夏期一時金闘争方針を次のとおり第2回執行委員会(2024.5.13)で決定した。
要求基準を「基準内賃金の2.5ヶ月以上、金額で750,000円」とする。
闘争日程は、要求書提出日5月27日、回答指定日6月3日、解決目標日6月14日と定め、短期決戦に備える体制を確立した。
A要求提出状況
賃上げと同時に一時金の要求書を2組合が提出した。うち1組合が2月に年間要求、1組合が4月に夏期一時金要求であった。残る組合は4月中1組合、5月中1組合、6月中3組合が要求書提出を完了した。平均要求額は三重一般同盟基準を上回る800,000円となったが月数では2.22ヶ月であった。
B闘争結果
夏期一時金闘争は連合集計で742,745円、2.52ヶ月で前年を上回った。また、経団連の大手企業夏期一時金妥結状況では大手企業の業種が好調なことから、前年に比べ4.23%の増加となった。
三重一般同盟で夏期一時金を交渉した組合では、2組合で前年を上回る回答を引き出し妥結、4組合が前年を維持したが、1組合が前年を下回る結果となった。妥結額は単純平均で650,000円(前年対比20,000円減)、妥結月数では算出できる単純平均で1.95ヶ月(前年対比0.27ヶ月減)となり、夏期一時金では前年実績を金額、月数ともに下回る結果となった。年間所得の引き上げに向け各組合に年末一時金闘争での一層の奮闘を促すとした。 |
(2) 年末一時金闘争
2024年度年末一時金闘争は物価上昇が続くなか円安を追い風に大手企業の業績は引き続き好調であったが、物価上昇で個人消費が伸びず人手不足が顕著となるなど中小企業には厳しい状況となった。
連合集計では741,142 円、2.47ヶ月でいずれも前年を上回った。また、経団連の大手企業年末一時金妥結状況でも前年2.11%上回っている。れわれは生活の維持・向上のため夏期一時金の上積みとともに、年間賃金の確保、引き上げと格差是正を求め精力的な取り組みを展開した。
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@闘争方針の策定
2024春季生活闘争方針を基準に、要求基準、闘争日程等の2024年度年末一時金闘争方針を次のとおり第5回執行委員会(2024.9.25)で決定した。
要求基準を「基準内賃金の2.5ヶ月以上、または、750,000円以上」とする。
闘争日程は、要求書提出日10月25日、回答指定日11月8日、解決目標日11月15日と定め、早期解決を目指すこととした。
A要求提出状況
要求は10月中に2組合が、11月に5組合が要求書を提出した。1組合は8月に年間要求(冬・夏型)を提出した。
平均要求額は三重一般同盟の要求基準「2.5ヶ月以上」に対し単純平均で2.34ヶ月、800,000円となり、金額で基準を上回ったが率では基準に届かなかった。
B闘争結果
年末一時金闘争は連合集計で741,142円、2.47ヶ月で前年を上回った。また、経団連の大手企業夏期一時金妥結状況で大手企業の業種が好調なことから、前年に比べ2.11%の増加となった。
三重一般同盟の妥結結果は3組合が前年を上回り、3組合が前年水準を維持したが集計のできる組合の単純平均で妥結額が653,333円(前年対比20,000円減)月数では2.21ヶ月(前年対比0.01ヶ月増)となり、金額で前年を下回ったものの月数で前年並みを確保したことは各組合が健闘した結果として評価したい。 |
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3.退職金と労働協約の整備について |
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下期経済闘争月間を10〜11月に設定し、年末一時金闘争とともに@退職金の引き上げ、A労働協約の締結・改訂を柱とする「2024年度下期経済闘争(秋闘)方針」を策定し、闘争を展開した。
三重一般同盟全体の課題として退職金水準の引き上げに長年取り組んできたが各組合で進展がみられない。当面の到達目標である1,500万円を今年こそ達成するよう強力な取り組みを求めた。
労働協約の締結・改訂については、労働関係法令改正への対応、改訂見直しの重要性、各種社内規定との整合性などに十分留意し、精力的に労使交渉を進めるよう加盟組合に要請した。 |
4.三重県最低賃金の改正について |
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零細未組織労働者や非正規労働者の賃金に大きな影響力をもつ最低賃金が、三重県最低賃金審議会において審議され、下表のとおり発行された。三重県最低賃金(地域最賃)は昨年に引き続き改定された。引き上げ金額は三重県最低賃金が50円(5.14%)引き上げられ1,023円となった。産業別最賃は3業種で改定され電線が34円、電気機械が44円、輸送用機械が35円引き上げられガラス、鋳鉄鋳物、洋食器、一般機械は地域最賃と同額の50円が引き上げられた。全国加重平均は1,055円で51円の引き上げとなり、厚労省発表の目安額の加重平均1,054円を1円上回った。地域別の最高額は東京都の1,163円で、次に神奈川県1,162円と続き16都道府県で1,000円を上回った。最低額は秋田県の951円で今回の改訂ですべての地域が950円以上となった。全国的には20都道府県が目安額と同額の50円引き上げとなった一方で、27県は目安を上回る引き上げとした。 |
5.2025年度春季生活闘争対策について |
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(1) 2025春季生活闘争方針の策定
加盟組合の要求づくりのベースを提起する目的で、2025春季生活闘争方針を第7回執行委員会(2024.11.8)において決定し、2月に全組合に示達した。方針の柱を@物価上昇を上回る賃上げ獲得A賃上げを始めとして労働条件の向上など「人への投資」による人材確保・定着B賃金の底上げ、格差是正C生産性向上による企業業績の拡大と公正な配分の確保と継続D賃上げの継続で個人消費拡大から経済の好循環につなげるとした。同時要求として働き方改革とワークライフバランス実現とした。賃上げが物価上昇に追い付かず実質賃金がマイナス圏で推移するなか、物価上昇を上回る賃上げを獲得することが絶対に必要であり社会の要請でもある。中小企業労働者の生活を守り将来への不安を払拭し、豊かで安心して暮らして
いける社会を実現するため、大幅な賃上げを積極的に求めるものとした。
(2) 賃金セミナーの開催
春季生活闘争に臨む情勢の把握と交渉力の引き上げをはかるため、加盟組合三役と企業の労務担当を対象とした2025賃金セミナー(春季生活闘争研修会)を1月31日に開催した。
セミナーでは、特定社会保険労務士・菊地珠津季氏より「働きやすさと賃金の両立」について講義を受けた。その後、三重一般同盟から春季生活闘争方針の取り組みについて、加盟組
合における交渉の進め方等の説明をおこなった。
(3) 賃闘オルグの実施
2025春季生活闘争でも「賃闘オルグ」を実施。今回も書記局が中心となり、加盟組合の執行委員会へ出席し、組合役員に三重一般同盟の方針の徹底を期すとともに次期春季生活闘争に向けた情報交換をおこなった。 |
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