2020年度活動報告 |
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1.2020年度春季生活闘争(賃闘)について
日本経済は緩やかな景気回復が続き6年間賃上げが継続されてきたが、10月からの消費税増税や米中対立による世界経済の減速により日本経済の景気後退局面入りが懸念され、2月からの新型コロナウイルス感染症の急激な感染拡大の影響で経済活動に急激な減速がかかり、一層の景気後退が予想され、日本経済の先行きへの不安が増加している。新型コロナウイルス感染症の収束が見えず今までにない困難な状況で、働く者が安心して暮らせる社会の実現を目指し、労働者の賃金水準の底上げと格差是正のため大幅な賃上げを積極的に求め、家庭や社会の期待に応える闘いであった。同時に働き方改革関連法が順次施行され、働き方改革による長時間労働抑制やワークライフバランス(仕事と生活の調和)実現にも積極的に取り組んでいかなければならないことを再認識した。
私たち労働組合の積極的な行動により、今次春季生活闘争は組合員の期待に応えるとともに社会の一員として堂々と正義の闘いを展開した。 |
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<2020春季生活闘争の集計> |
集 計 |
2020妥結額(率) |
2019妥結額(率) |
主要企業(厚生労働省) |
6,286円 (2.00%) |
6,790円 (2.18%) |
中小企業(都道府県) |
4,371円 (1.70%) |
4,815円 (1.89%) |
三重一般同盟 |
4,450円(1.88%) |
4,950円(1.97%) |
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2.2020年度一時金闘争について |
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年末一時金闘争
2020年度年末一時金闘争は、4月からの「新型コロナウイルス感染症対策における緊急事態宣言」が発出され、経済活動が急速に収縮したことからGDPが戦後最大の落ち込みとなり多くの企業で業績が悪化したが6月以降経済活動が再開され徐々に景気が戻りつつある。しかし観光・飲食・鉄道・航空など特定の産業では大きな影響が続いており、連合や経団連の集計では賃上げや一時金が前年を下回り、コロナ禍収束への先行きが不透明ななか、年末一時金の交渉を維持することは大変厳しいものであったが、年間賃金の維持、底上げを求めて、全精力を結集し一時金闘争を展開した。
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@闘争方針の策定
2020春季生活闘争方針を基準に、要求基準、闘争日程等の2020年度年末一時金闘争方針を次のとおり第1回執行委員会(2020.10.1)で決定した。
要求基準 「基準内賃金の2.5ヶ月以上、または、750,000円以上」
闘争日程は、統一要求日10月30日、回答指定日11月6日、解決目標日11月13日と定め、早期解決を目指すこととした。
A要求提出状況
要求は3組合が10月中に提出、3組合が11月の提出となった。
要求内容は年末一時金を単独で闘った組合で、三重一般同盟の要求基準「2.5ヶ月以上」に対し単純平均で2.68ヶ月となり三重一般同盟の要求基準を上回った。
B闘争結果
年末一時金闘争の妥結結果は、経団連の年末一時金妥結結果が865,621円でコロナ禍による企業の業績悪化を反映して約9%前年を下回った。
三重一般同盟の妥結結果は集計のできる組合の単純平均で、妥結額平均が543,833円(前年対比▲18,705円)となり、月数では2.15ヶ月(前年同月数)となった。今回の闘争ではコロナ禍の影響を受け景気が減速するなか、各組合ではコロナ感染防止に対する上積みを引き出すなど健闘が見られる結果となったが、大企業が獲得した金額水準からすると格差が拡大している。
次期一時金闘争では大変厳しい闘争が予想されるが年間賃金を確保し、一層の引き上げと格差是正に向け各組合の奮闘を期待したい。 |
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3.退職金と労働協約の整備について |
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秋季生活改善闘争期間に10〜11月を設定し、2020年末一時金闘争とともに@退職金水準の引き上げ、A労働協約の締結・改訂を柱とする「2020年度下期経済闘争(秋闘)方針」を策定し、闘いを推進した。
三重一般同盟全体の課題として退職金水準の引き上げに長年取り組んできたが結果がでていない。当面の到達目標を1,500万円と設定し今年こそ達成するよう強力な取り組みを指示した。また、退職金制度や退職金の改訂にあたっては内容を精査し、現行制度からの引き上げを前提に変更が不利益となる場合には断じて拒否の姿勢を貫くことと退職金保全の取り組みについて指示した。
労働協約の締結・改訂については、労働関係法令改正への対応、改訂見直しの重要性、各種社内規定との整合性などに十分留意し、精力的に労使交渉を進めるよう加盟組合に指示した。 |
4.三重県最低賃金の改正について |
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零細未組織労働者や非正規労働者の賃金に大きな影響力をもつ最低賃金が、三重県最低賃金審議会において審議され、下表のとおり発行された。三重県最低賃金(地域最賃)が改定され、産業別最低賃金も7業種で改定された。引き上げ金額は三重県最低賃金が1円(0.11%)、産業別最低賃金も全7業種で1円(0.11%)となった。全国では加重平均が902円で1円の引き上げとなり、都道府県では東京が1,013円で据え置きとなったものの7県が792円で地域格差は縮小することなく抜本改正にはほど遠い状況である。 |
5.2021年度春季生活闘争対策について |
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(1) 2021春季生活闘争方針の策定
加盟組合の要求づくりのベースを提起する目的で、2021春季生活闘争方針を第3回執行委員会(2021.1.17)に決定し、全組合に示達した。方針の柱は、@賃金の底上げと格差是正、A中小企業の賃上げで個人消費拡大、B定期昇給分の確保と定期昇給制度の確立、C働き方改革とワークライフバランス実現を基本とし、消費税増税の影響やコロナ禍による需要の減少などに対し賃上げによる個人消費拡大に期待が集まるなか、中小企業労働者が将来への不安を払拭し、豊かで安心して暮らしていける社会を実現するため、賃上げと格差是正の積極的な取り組みを求めるものとなっている。詳細は、別掲の「2021春季生活闘争方針」を参照のこと。
(2) 賃金セミナーの開催
春季生活闘争に臨む情勢の把握と交渉力の引き上げをはかるため、加盟組合三役と企業の労務担当を対象とした2021賃金セミナー(春季生活闘争研修会)を2月5日に予定していたがコロナ禍の影響を鑑み感染予防と安全確保の観点から開催を中止した。
(3) 賃闘オルグの実施
2021春季生活闘争でも「賃闘オルグ」を実施。今回は書記局が中心となり、加盟組合の執行委員会や三役会への出席に加えリモートで実施するなど、三重一般同盟の方針の徹底を期すとともに格差是正の取り扱いなどの情報交換をおこなった。 |
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