2019年度活動報告 |
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1.2019年度春季生活闘争(賃闘)について
日本経済は緩やかな景気回復が続き5年間賃上げが継続されたものの、消費税増税や物価上昇、年々引き上げられてきた社会保険料など家計の負担が増加したことから賃上げの実感がないなか消費支出が減少し消費拡大による景気回復には至らない状況が続いている。ベア要求復活から6年目を迎える2019春季生活闘争を取り巻く環境は大手企業の業績拡大が進み、労働需給も引き締まりが顕著となり「人への投資」が求められるなど賃上げにとって追い風となるなか、労働者の賃金水準の底上げと格差是正のため大幅な賃上げを積極的に求め、家庭や社会の期待に応える闘いであった。同時に働き方改革関連法が順次施行され、長時間労働抑制やワークライフバランス(仕事と生活の調和)実現にも積極的に取り組んでいかなければならないことを再認識した。
私たち労働組合の積極的な行動により、今次春季生活闘争は組合員の期待に応えるとともに社会の一員として堂々と正義の闘いを展開した。 |
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(1) 2019春季生活闘争方針の決定
組合員の賃金水準の底上げと格差是正をはかることを基本とした、三重一般同盟2019春季生活闘争方針を第8回執行委員会(2019.1.13)で決定した。
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@要求基準
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1)賃上げの基準
賃上げの継続が求められるなか、月例賃金の引き上げにこだわり賃金水準の底上げと格差是正を積極的に求めるとして要求基準を率ではなく「金額での要求」とすることとした。
賃上げの要求基準 「すべての組合で13,000円以上(組合員平均)」
2)初任給要求
賃金の底上げをはかるため初任給を基準内賃金の2%程度引き上げることを目指した。
3)一時金の要求基準
月例賃金の増加にウェートを置くが、年収確保の観点から例年どおり年間5.0ヶ月以上(金額で1,500,000円以上)を基準として、前年に要求基準以上の一時金を獲得している組合は実績を踏襲して決定する。
4)ワークライフバランスの同時要求
春季生活闘争では賃上げ交渉が中心となるが労働時間や労働条件、2019年4月から順次施行される働き方改革関連法についても、併せて積極的に交渉のテーブルに載せていくことを求めた。重点課題である[長時間労働の抑制]や[総労働時間の縮減]、「仕事と家庭の両立」などワークライフバランスの実現に向けた課題を同時要求として加盟組合は積極的に取り組むこととした。 |
A闘争体制
緩やかな景気回復が続き、企業業績が拡大し労働需給が引き締まるなか、中小企業は賃上げにおいて慎重な態度を崩していない。連合をはじめ中小企業労働組合は賃上げの継続
と大企業と中小企業の格差是正を求める強い姿勢で臨んでいくことを確認しており、対決 色の強い春季生活闘争となることを覚悟し、可能な限り統一闘争を展開できるようにする
ため、闘争スケジュールを設定した。
これには全加盟組合が交渉を有利に進めるため3月中決着を目指し、次の日程で臨むこと とした。
要求書提出日 2月22日、回答指定日 3月13日、解決目標日 3月27日(最終3月中決着) |
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(2) 闘争の側面支援
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@賃金セミナーの開催
春季生活闘争に臨む情勢の把握と交渉力の引き上げをはかるため、加盟組合三役と企業の労務担当者を対象とした賃金セミナー(春季生活闘争研修会)を、2月1〜2日に開催した。
セミナーではダイ・マンパワーマネジメント代表 大地勉氏から「事例を踏まえた働き方改革」について講義を受講するとともに、三重一般同盟から「2019年春季生活闘争方針」の説明をおこない、その後参加労使で意見交換した。
A賃闘オルグの実施
2019春季生活闘争で「賃闘オルグ」を実施。三役・役員と書記局が加盟組合の執行委員会に出席し、三重一般同盟の方針の徹底を期すとともに、賃闘に向けての情報交換をおこなった。また会議後は単組執行部との意見交換も実施した。
B賃闘委員会の設定
第46回定期大会終了後、執行委員会で構成する賃闘委員会を設定した。期間中執行委員会のなかで、情勢を分析するとともに加盟組合間の情報交換をおこなった。
C情報の発行
加盟組合の闘争状況と、全国台の闘争の流れを速やかに報告し、加盟組合の交渉に役立たせるため「2019春季生活闘争ニュース」を第1号(3月18日)から6号(9月25日)までの間、適宜発行した。 |
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(3) 闘争の結果
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@要求提出状況
要求は2月23日に要求書を提出した組合が1組合で、4組合が3月、4月に3組合の要求提出となった。要求内容は、三重一般同盟の基準とした13,000円が大半であった。
A回答状況
3月末までに2組合が妥結、4月初旬に2組合、4月下旬から5月にかけて3組合が妥結、最終決着が6月までずれ込んだ組合が1組合となり例年と変わらず、交渉・解決のテンポに大幅な改善は見られなかった。
B集計結果
2019年の賃上げ結果は前年実績を上回り、主要企業の妥結額では6,790円、率で2.18%となり、金額で243円、率で0.08ポイント前年を下回った。
三重一般同盟の妥結額は単純平均で4,950円(1.97%、単純平均)となり、対前年を139円、0.07ポイント下回る結果となった。賃金水準の底上げ値と格差是正の獲得を積極的に求める闘いを展開したが、力及ばず前年実績を下回る結果に終わったことは大いに反省すべきであり、次期春季生活闘争での賃上げ獲得への強い決意と一層の奮起を求めたい。 |
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<2019春季生活闘争の集計> |
集 計 |
2019妥結額(率) |
2018妥結額(率) |
主要企業(厚生労働省) |
6,790円 (2.18%) |
7,033円 (2.26%) |
中小企業(都道府県) |
4,815円 (1.89%) |
4,804円 (1.89%) |
三重一般同盟 |
4,950円(1.97%) |
5,089円(2.04%) |
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2.2019年度一時金闘争について |
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(1) 夏期一時金闘争
2019年度夏期一時金闘争は、2019春季生活闘争において連合集計で賃上げが前年と同水準となったなか、米中対立をはじめとする世界経済の先行きへの不安が懸念されるものの好調な企業業績を背景に年間賃金の水準のさらなる引き上げを求めて、全精力を結集し闘争を展開した。
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@闘争方針の策定
2019春季生活闘争方針を基準に、要求基準、闘争日程等の2019年度夏期一時金闘争方針を次のとおり第2回執行委員会(2019.5.15)で決定した。
要求基準 「基準内賃金の2.5ヶ月以上、金額で750,000円」
闘争日程は、統一要求日5月24日、回答指定日5月31日と定め、早期解決を目指し解決目標日6月7日として短期決戦に備える体制を確立した。
A要求提出状況
賃上げ要求と同時に要求書を3組合が提出した。うち2組合が年間要求、1組合が夏期一時金要求であった。残る組合も概ね6月中に要求書を提出。単純平均で2.63ヶ月となり三重一般同盟基準を上回る要求となった。
B闘争結果
一時金闘争は連合集計で賃上げが前年並みとなったなか、世界経済の減速など経済情勢の先行き不安から厳しい闘争となったことから、経団連の大手企業夏期一時金妥結状況は前年を下回る結果となった。
三重一般同盟では賃上げと同時に年間で要求した2組合は、ともに要求額を下回ったものの前年同水準で妥結した。夏期一時金を交渉した組合では、2組合で前年以上の回答を引き出し妥結したものの4組合が前年を下回る結果となり6月に3組合、7月に3組合が決着した。妥結額は単純平均で551,874円(前年対比▲17,489円)、妥結月数は算出できる組合単純平均で2.11ヶ月(前年対比▲0.11ヶ月)となり、賃上げが前年実績を下回ったなか、一時金も前年実績を下回り年間賃金の引き上げに向けた結果を出せなかった。各組合ににおいては年間賃金の確保、引き上げのため年末一時金闘争での一層の奮闘を促すとした。 |
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(2) 年末一時金闘争
2019年度年末一時金闘争は緩やかな景気回復が続いていると言われるなか、企業収益が高水準で推移し労働需給の引き締まりにより人材確保が課題となる一方、米中貿易戦争や中東問題など世界経済の減速が懸念されるなど先行きへの不安が払拭されない情勢下、われわれは生活の維持・向上のため夏期一時金で遅れをとった分を確保するとともに、年間賃金の確保と引き上げ、格差是正を求め精力的な取り組みを展開した。
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@闘争方針の策定
2019春季生活闘争方針を基準に、要求基準、闘争日程等の2019年度年末一時金闘争方針を次のとおり第5回執行委員会(2019.9.26)で決定した。
要求基準 「基準内賃金の2.5ヶ月以上、または、750,000円以上」
闘争日程は、統一要求日10月18日、回答指定日10月25日、解決目標日11月8日と定め、早期解決を目指すこととした。
A要求提出状況
要求は11月中旬までに出揃い提出を完了した。
要求内容は年末一時金を単独で闘った組合で、三重一般同盟の要求基準「2.5ヶ月以上」に対し単純平均で2.74ヶ月となり三重一般同盟の要求基準を上回った。
B闘争結果
年末一時金闘争の妥結結果は、経団連の年末一時金妥結結果で企業業績が好調であることから約6%前年を上回った。
三重一般同盟の妥結は集計のできる組合の単純平均で、妥結額平均が562,538円(前年対比5,675円)月数で2.15ヶ月(前年対比▲0.1ヶ月)となり、金額では前年を上回ったものの、月数では微減となり、大企業が獲得した金額水準からすると格差が一層拡大しており、満足できる結果ではなかった。
次期一時金闘争では年間賃金の引き上げと格差是正に向け一層の奮闘を促したい。 |
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3.退職金と労働協約の整備について |
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秋季生活改善闘争期間に10〜11月を設定し、2019年末一時金闘争ととともに@退職金水準の引き上げ、A労働協約の締結・改訂を柱とする「2019年度下期経済闘争(秋闘)方針」を策定し、闘いを推進した。
三重一般同盟全体の課題として退職金水準の引き上げに長年取り組んできたが結果がでていない。当面の到達目標を1,500万円と設定し今年こそ達成するよう強力な取り組みを指示した。また、退職金制度や退職金の改訂にあたっては内容を精査し、変更が不利益となる場合にはに断じて拒否の姿勢を貫くことと退職金保全の取り組みについて指示した。
労働協約の締結・改訂については、労働関係法令改正への対応、改訂見直しの重要性、各種社内規定との整合性などに十分留意し、精力的に労使交渉を進めるよう加盟組合に指示した。 |
4.三重県最低賃金の改正について |
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零細未組織労働者や非正規労働者の賃金に大きな影響力をもつ最低賃金が、三重県最低賃金審議会において審議され、下表のとおり発行された。三重県最低賃金(地域最賃)が改定され、産業別最低賃金も4業種で改定された。引き上げ金額は三重県最低賃金が27円(3.09%)、産別最賃は電線、輸送用機械が20円、電機機械器具が19円、ガラスが21円、鋳鉄鋳物、一般機械、洋食器が地域最賃と同額の27円引き上げられた。全国では東京が1,013円となったのに対し鹿児島が787円となり地域格差は縮小することなく抜本改正にはほど遠い状況である。 |
5.2020年度春季生活闘争対策について |
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(1) 賃金セミナーの開催
春季生活闘争に臨む情勢の把握と交渉力の引き上げをはかるため、加盟組合三役と企業の労務担当を対象とした賃金セミナー(春季生活闘争研修会)を2020年2月7日に開催した。セミナーでは、社会保険労務士・高原祥子氏から「働きやすく働きがいのある職場の作り方」
について講義を受けた。その後、三重一般同盟から春季生活闘争方針の取り組みについて、加盟組合における交渉の進め方等の説明をおこなった。
(2) 2020春季生活闘争方針の策定
加盟組合の要求づくりのベースを提起する目的で、2020春季生活闘争方針を第8回執行委員会(2020.1.12)に決定し、全組合に示達した。方針の柱は、@賃金の底上げと格差是正、A中小企業の賃上げで個人消費拡大、B定期昇給分の確保と定期昇給制度の確立、C働き方改革とワークライフバランス実現を基本とし、消費税増税の影響や物価上昇などに対し賃上げによる個人消費拡大に期待が集まるなか、中小企業労働者が将来への不安を払拭し、豊かで安心して暮らしていける社会を実現するため、大幅な賃上げと格差是正の積極的な取り組みを求めるものとなっている。詳細は、別掲の「2020春季生活闘争方針」を参照のこと。
(3) 賃闘オルグの実施
2020春季生活闘争でも「賃闘オルグ」を実施。三役・役員と書記局が中心となり、加盟組合の執行委員会や三役会に出席し、三重一般同盟の方針の徹底を期すとともに格差是正の取り扱いなどの情報交換をおこなった。また会議後は単組執行部との意見交換も実施した。 |
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