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1.2017年度春季生活闘争(賃闘)について
2016年日本経済は消費税増税の物価上昇により低下した実質賃金の上昇がみられず社会保険料の負担増から可処分所得は横ばいを続け、消費支出は減少し個人消費拡大による景気回復にはほど遠い状況であった。円安により大手企業の業績改善が進んでいたが2016年前半に1ドル100円まで円高が進行したことから企業収益を圧迫し企業心理を冷やし景気回復、デフレ脱却への力強さが見えなかった。賃上げにより将来への不安を払拭し、消費拡大をはかり、景気回復から次の賃上げにつなげるといった好循環を実現することが求められた2017春季生活闘争は、労働者の賃金水準の底上げと格差是正のため大幅な賃上げを積極的に求め、家庭や社会の期待に応える闘いであった。同時に長時間労働の抑制をはじめとするワークライフバランス(仕事と生活の調和)の実現も積極的にはかっていかなければならないことを再認識した。
私たち労働組合の積極的な行動により、今次春季生活闘争は組合員の期待に応えるとともに社会の一員として堂々と正義の闘いを展開した。 |
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(1) 2017春季生活闘争方針の決定
組合員の生活水準向上と格差是正をはかることを基本とした、三重一般同盟2017春季生活闘争方針を第8回執行委員会(2017.1.15)で決定した。
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@要求基準
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1)賃上げの基準
賃上げを継続し、拡大を続ける大手企業と中小企業の格差是正を積極的に求めていくため要求基準を率ではなく金額で要求することとした。
賃上げの要求基準を「すべての組合で12,500円以上(組合員平均)」とする。
2)初任給要求
賃金の底上げをはかるため初任給の2%程度の引き上げを目指した。
3)一時金の要求基準
月例賃金の増加にウェートを置くが、年収確保の観点から例年どおり年間5.0ヶ月以上(金額で1,500,000円以上)を基準として、前年に要求基準以上の一時金を獲得している組合は実績を踏襲して決定する。
4)ワークライフバランスの同時要求
労使で協議する上で労働時間と賃金は密接に関係していることから、春季生活闘争のなかで長時間労働の抑制と総労働時間の縮減について加盟組合の実態に合わせた形で同時要求とし、全加盟組合で積極的に取り組む。 |
A闘争体制
中小企業を取り巻く環境は厳しい状態が続き賃上げについて慎重な態度である。連合をはじめ労働組合側は賃上げの継続と大企業と中小企業の格差是正を求める強い姿勢で臨んでいくことを確認しており、対決色の強い春季生活闘争となることを覚悟し、可能な限り統一闘争を展開できるようにするため、闘争スケジュールを設定した。
これには全加盟組合が交渉を有利に進めるため3月中決着を目指し、次の日程で臨むこととした。
要求書提出日 2月24日、回答指定日 3月15日、解決目標日 3月27日(最終3月中決着) |
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(2) 闘争の側面支援
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@賃金セミナーの開催
春季生活闘争に臨む情勢の把握と交渉力の引き上げをはかるため、加盟組合三役と企業の労務担当者を対象とした賃金セミナー(春季生活闘争研修会)を、2月3〜4日に開催した。セミナーでは、三重労働局
雇用環境・均等室 コンサルタント 森本利彦氏から「ワークライフバランスと長時間労働等の見直し」について講義を受講するとともに、三重一般同盟から「2017年春季生活闘争方針」の説明を受け、その後参加労使で意見交換をした。
A賃闘オルグの実施
2017春季生活闘争で「賃闘オルグ」を実施。三役・役員と書記局が加盟組合の執行委員会に出席し、三重一般同盟の方針の徹底を期すとともに、賃闘に向けての情報交換をおこなった。また会議後は単組執行部との意見交換も実施した。 B賃闘委員会の設定
第44回定期大会終了直後、執行委員会で構成する賃闘委員会を設定した。期間中執行委員会のなかで、情勢を分析するとともに加盟組合間の情報交換をおこなった。
C情報の発行
加盟組合の闘争状況と、全国台の闘争の流れを速やかに報告し、加盟組合の交渉に役立たせるため「2017春季生活闘争ニュース」を第1号(3月15日)から5号(7月25日)までの間、適宜発行した。 |
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(3) 闘争の結果
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@要求提出状況
要求は三重一般同盟の設定した統一要求日の2月24日までに4組合が要求提出し、残りの組合では3月3組合、4月1組合の要求提出となった。
要求内容は、三重一般同盟の基準とした12,500円が大半であった。
A回答状況
3月末までに1組合が妥結、4月前半に2組合が妥結し、5月中に解決した組合が3組合、最終決着が6月前半にずれ込んだ2組合もあるなど例年と変わらず、交渉・解決のテンポに改善が見られなかった。
B集計結果
2017年の賃上げ結果は前年実績を下回り、主要企業の妥結額では6,570円、率で2.11%となり、前年より額で69円、率で0.03ポイントのマイナスとなった。
三重一般同盟の妥結は5組合単純平均で4,777円(1.87%、5組合単純平均)となり、対前年で140円下回る結果となった。賃金水準の底上げ値と格差是正の獲得を積極的に求める闘いを展開したが前年実績から減額となり2017春季生活闘争の取り組みは不本意な結果となった。
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<2017春季生活闘争の集計> |
集 計 |
2017妥結額(率) |
2016妥結額(率) |
主要企業(厚生労働省) |
6,570円 (2.11%) |
6,639円 (2.14%) |
中小企業(都道府県) |
4,586円 (1.81%) |
4,651円 (1.83%) |
三重一般同盟 |
4,777円 (1.87%) |
4,917円 (1.96%) |
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2.2017年度一時金闘争について |
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(1) 夏期一時金闘争
2017年度夏期一時金闘争は、2017春季生活闘争において賃上げが前年実績を下回った組合では、賃上げでの不足分を補い年間賃金確保のため、また前年実績を上回った組合では年間賃金の水準のさらなる引き上げを求めて、全精力を結集し闘争を展開した。
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@闘争方針の策定
2017春季生活闘争方針を基準に、要求基準、闘争日程等の2017年度夏期一時金闘争方針を次のとおり第2回執行委員会(2017.5.15)で決定した。
要求基準を「基準内賃金の2.5ヶ月以上、金額で750,000円」とする。
闘争日程は、統一要求日5月24日、回答指定日5月31日と定め、早期解決を目指し解決目標日6月9日として短期決戦に備える体制を確立した。
A要求提出状況
2組合が年間要求として賃上げ要求と同時に要求書を提出。夏期一時金を単独で要求する組合も6月上旬までに要求提出を完了。多くの組合で三重一般同盟基準を上回る要求となった。
B闘争結果
一時金闘争は賃上げの状況が前年を下回り、経済情勢の先行き不安から厳しい闘争が予想されるなか、経団連の大手企業夏期一時金妥結状況は円高が業績を押し下げたことから、前年を2.98%下回る結果となった。三重一般同盟では賃上げと同時に年間で要求した2組合のうち、1組合は満額回答を引き出し妥結したが、1組合は前年実績を0.1ヶ月上回ったものの満額には及ばず妥結した。夏期に単独で交渉した組合では、多くの組合で前年を上回る回答を引き出し6月中に決着した。6組合の妥結額平均は579,473円(前年対比13,019円増)、妥結月数では算出できる組合単純平均で2.33ヶ月(前年対比0.08ヶ月増)となり、賃上げが前年を下回ったものの、一時金では前年実績を上回り年間賃金の確保に向けた結果を出せたことを評価したい。各組合に年末一時金闘争での一層の奮闘を促したい。 |
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(2) 年末一時金闘争
2017年度年末一時金闘争は戦後2番目の緩やかな景気回復が続き多くの大企業が円安により好調な業績を示し、労働需給の引き締まりにより人材確保が課題とる一方、春季生活闘争では賃上げが昨年を下回る結果となり、世界情勢の先行きへの不安が払拭されない情勢下で迎えた。そのため、われわれは生活の維持向上のため年間賃金の確保、引き上げと格差是正を求め精力的な取り組みを展開した。
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@闘争方針の策定
2017春季生活闘争方針を基準に、要求基準、闘争日程等の2017年度年末一時金闘争方針を次のとおり第5回執行委員会(2017.9.27)で決定した。
要求基準を「基準内賃金の2.5ヶ月以上、または、750,000円以上」とする。
闘争日程は、統一要求日10月20日、回答指定日10月27日、解決目標日11月6日と定め、早期解決を目指すこととした。
A要求提出状況
要求は11月上旬までに出揃い提出を完了した。
要求内容は年末一時金を単独で闘った組合で、三重一般同盟の要求基準「2.5ヶ月以上」に対し単純平均で2.67ヶ月となり集計した全組合で基準を上回る要求となった。
B闘争結果
年末一時金闘争の妥結結果は、大企業では業績が好調であるものの経済の先行きへの不安や賃上げ(ベア)が継続されたことから、昨年とほとんど変わらず横ばいであった。
三重一般同盟の妥結は集計のできる組合の単純平均では、妥結額平均が586,973円、月数で2.37ヶ月となり、月数は0.01ヶ月ではあるが前年を上回る結果を残せたものの、金額では前年を下回る結果となった。しかし、年間集計では金額で9,971円、月数が0.09ヶ月前年を上回る結果となり各組合の健闘を評価したい。大企業が獲得した金額水準からすると、夏期・年末一時金は格差是正には遠く、次期一時金闘争に向け一層の奮闘を求めたい。 |
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3.退職金と労働協約の整備について |
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秋季生活改善闘争期間に10〜11月を設定し、@退職金水準の引き上げ、A労働協約の締結・改訂を柱とする「2017年度下期経済闘争(秋闘)方針」を策定し、闘いを推進した。
退職金水準の引き上げの取り組みを長年推進してきたが結果がでていない。当面の到達目標である1,500万円を今年こそ達成するよう強力な取り組みを指示した。
労働協約の締結・改訂については、最近の法改正への対応、改訂見直しの重要性、各種社内規定との整合性などに留意し、労使交渉を進めるよう加盟組合に指示した。 |
4.三重県最低賃金の改正について |
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零細未組織労働者の賃金に大きな影響力をもつ最低賃金が、三重県最低賃金審議会において審議・発行された。三重県最低賃金(地域最賃)は昨年に引き続き改定され、産業別最賃金も2業種で改定された。引き上げ金額は三重県最低賃金が25円(3.05%)、産別最賃で鋳鉄鋳物と一般機械が25円引き上げられたが、その他の産別最賃は据え置きとなった。全国平均では25円の引き上げと小幅に留まるとともに地域格差は縮小することなく抜本改正にはほど遠い状況である。 |
5.2018年度春季生活闘争対策について |
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(1) 賃金セミナーの開催
春季生活闘争に臨む情勢の把握と交渉力の引き上げをはかるため、加盟組合三役と企業の労務担当を対象とした賃金セミナー(春季生活闘争研修会)を2018年2月9日に開催した。セミナーでは三重県雇用経済部雇用対策課
働き方改革・勤労福祉班 班長代理 岩崎和人氏から「働き方改革取り組み事例」について講義を受けた。また会社の事例報告として、鰍ィやつカンパニー
常務執行役員人事部長 島田明典氏から「我が社の人事・労務について」 の報告を受け、その後、三重一般同盟から春季生活闘争方針の取り組みについて説明をおこない、加盟組合における交渉の進め方等の参考とした。
(2) 2018春季生活闘争方針の策定
加盟組合の要求づくりのベースを提起する目的で、2018春季生活闘争方針を第8回執行委員会(2018.1.14)に決定し、全組合に示達した。方針の柱は、@賃金の底上げと格差是正、A中小企業の賃上げで個人消費拡大、B定期昇給分の確保と定期昇給制度の確立、Cワークライフバランスの実現に向けていくことを基本とし、消費増税や円安による物価上昇と社会保険料の負担増などにより賃上げの実感がない状況で、実感できる大幅な賃上げと格差是正
の積極的な取り組みを求めるものとなっている。詳細は、別掲の「2018春季生活闘争方針」 を参照のこと。
(3) 賃闘オルグの実施
2018春季生活闘争でも「賃闘オルグ」を実施。今回は三役と書記局が中心となり、加盟組合の執行委員会や三役会に出席し、三重一般同盟の方針の徹底を期すとともに格差是正の取り扱いなどの情報交換をおこなった。また会議後は単組執行部との意見交換も実施した。 |
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