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1.2015年度春季生活闘争(賃闘)について
日本経済が「失われた20年」といわれる長く続いたデフレから脱却し、経済の好循環を実現するため、賃上げの継続が最大の鍵である。消費税増税の影響による消費低迷から徐々に回復の兆しが見えてきたなか、2014年に続き賃上げを獲得することで、消費マインドを改善し内需拡大を図らなければならない。賃金水準の低下や社会保険料の引き上げにより勤労者世帯の家計は余裕がない状況が続いてきた。さらに物価上昇による実質賃金の低下により、労働者の生活は厳しく将来への生活防衛から節約優先の状態になっている。2015春季生活闘争は、消費税増税や円安による物価上昇に賃金の上昇が追いついていないなかで、大幅な賃上げを積極的に求め賃金の底上げと格差是正を願う家庭や社会の期待に答える闘いであった。また、ゆとりと豊かさのある生活を実現するためワークライフバランスの実現も積極的にはかっていかなければならない。
私たちの積極的な行動により、今次春季生活闘争で組合員の期待に応えるとともに社会の一員として堂々と正義の闘いを展開した。
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(1) 2015春季生活闘争方針の決定
組合員の生活水準向上と格差是正をはかることを基本とした、三重一般同盟2015春季生活闘争方針を第8回執行委員会(2015.1.11)で決定した。
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@要求基準
賃上げを継続し、拡大を続ける大手企業と中小企業の格差是正を積極的に求めていくため要求基準を率ではなく金額で要求することとした。
賃上げの要求基準を「すべての組合で12,000円以上(組合員平均)」として要求する。
賃金の底上げをはかるため初任給の2%程度の上昇をめざして、到達目標についても次のとおり定めた。
18歳(高卒初任給) 165,000円以上
22歳(大卒初任給) 208,000円以上
一時金の要求基準については、月例賃金の増加にウェートを置くため例年どおり年間5.0ヶ月以上を基準として、前年に5.0ヶ月以上獲得している組合は実績を踏襲する。
ワークライフバランス前進のため、同時要求として総労働時間短縮を一斉に行う。具体的には所定内労働時間の削減、年次有給休暇の取得促進、サービス残業の撲滅に取り組む。
A闘争体制
デフレからの脱却のため賃上げによる景気回復が社会の要請ではあるが、業績の回復が進まない中小企業は賃上げについて慎重な態度である。連合はじめ労働組合側は賃上げの継続を求める強い姿勢で臨んでいくことを確認しており、対決色の強い春季生活闘争となることを覚悟し、可能な限り統一闘争を展開できるようにするため、闘争スケジュールを設定した。
これには3月中決着という世間の流れに歩調を合わせるため、次の日程で臨むこととした。
要求書提出日2月27日、回答指定日3月18日、解決目標日3月27日と定めた。 |
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(2) 闘争の側面支援
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@賃金セミナーの開催
春季生活闘争に臨む情勢の把握と交渉力の引き上げをはかるため、加盟組合三役と企業の労務担当者を対象とした賃金セミナー(春季生活闘争研修会)を、1月23.24日に開催した。セミナーでは、未来工業株式会総務部総務課の阪本氏から「常に考える”生活と仕事”」の講義を受講するとともに、三重一般同盟から「労働組合の2015春季生活闘争方針」の説明を受け、その後参加労使で意見交換をした。
A賃闘オルグの実施
2015春季生活闘争で「賃闘オルグ」を実施。三役・役員と書記局が加盟組合の執行委員会に出席し、三重一般同盟の方針の徹底を期すとともに、格差是正などの情報交換をおこなった。また会議後は単組執行部との意見交換も実施した。 B賃闘委員会の設定
第42回定期大会終了直後、執行委員会で構成する賃闘委員会を設定した。期間中2回開催し、その都度の情勢を分析するとともに、加盟組合間の情報交換をおこなった。
C情報の発行
加盟組合の闘争状況と、全国台の闘争の流れを速やかに報告し、加盟組合の交渉に役立たせるため「2015春季生活闘争ニュース」を第1号(3月18日)から5号(7月13日)までの間、適宜発行した。 |
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(3) 闘争の結果
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@要求提出状況
要求は三重一般同盟の設定した統一要求日の2月27日までに3組合が要求提出し、残りの組合では3〜5月とバラバラな要求提出となった。
要求内容は、三重一般同盟の基準とした12,000円が大部分であった。全体での要求幅は10,000円〜20,080円、率では4.1%〜8.56%。単純平均で12,869
円となった。
A回答状況
1組合が3月末までに妥結、4組合が4月中に有額回答を引き出し交渉を本格化し内2組合が妥結、5月中に解決した組合が3組合、最終決着が6月以降にずれ込んだのが2組合もあるなど交渉・解決のテンポに改善が見られなかった。
B集計結果
2015年の賃上げ結果は前年実績を上回り、主要企業の妥結額では7,367円、率で2.38%となり、前年より額で656円、率で0.19ポイントプラスとなった。
三重一般同盟の妥結は6組合単純平均で5,843円(2.11%6組合単純平均)となり、前年実績を額で46円上回る結果となった。しかし、大企業と比較すると妥結額で大きな差があり、一層格差が拡大した状況が見られる。2015春季生活闘争も格差是正の取り組みは不本意な結果となった。
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<2015春季生活闘争の集計> |
集 計 |
2015妥結額(率) |
2014妥結額(率) |
主要企業(厚生労働省) |
7,367円 (2.38%) |
6,711円 (2.19%) |
中小企業(都道府県) |
4,702円 (1.87%) |
4,416円 (1.76%) |
三重一般同盟 |
5,843円 (2.11%) |
5,797円 (2.08%) |
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2.2015年度一時金闘争について |
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(1) 夏期一時金闘争
2015年度夏期一時金闘争は、2015春季生活闘争において賃上げが物価上昇に追いつかなかったなか、賃上げでの不足分を補い年間賃金確保のため昨年を上回る結果を出すことが求められる情勢下で闘争は推進された。われわれは、長きに渡り低下した賃金水準の回復と世間並の年間賃金への増額を目指し、全精力を結集し闘争を展開した。
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@闘争方針の策定
2015春季生活闘争方針を基準に、要求基準、闘争日程等の2015年度夏期一時金闘争方針を次のとおり第2回執行委員会(2015.5.14)で決定した。
要求基準を「基準内賃金の2.5ヶ月以上、750,000円」とする。
闘争日程は、統一要求日5月22日、回答指定日5月29日と定め、早期解決を目指し解決目標日6月12日として短期決戦に備える体制を確立した。
A要求提出状況
6月上旬までに大部分の組合で要求提出を完了。多くの組合で三重一般同盟基準の「2.5ヶ月」を上まわる要求となった。
B闘争結果
賃上げでのベア獲得状況から厳しさが予想されたが、大企業の夏期一時金を見ると円安による業績が好調なことから前年より約4%の増額となっている。利益配分を賃上げより業績の結果として一時金で配分したい企業の姿勢が引き続き見られる。三重一般同盟では賃上げと同時に決着した2組合が満額回答を引き出し1組合では前年を上まわって妥結し、夏期に単独で交渉した組合では、一部組合を除きほぼ前年並みかそれ以上で妥結した。7組合の妥結額平均は575,207円(前年対比では10,857円増)、妥結月数では算出できる組合単純平均で2.30ヶ月に終わった。中小企業労組で構成される三重一般同盟の妥結平均額が前年を上まわる結果を残せたことは、各組合が健闘した結果だと評価したい。 |
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(2) 年末一時金闘争
2015年末一時金闘争は引き続き大手企業が好業績を出しているなか、景気回復の兆しは見えるもののその実感がない情勢下で迎えた。そのため、われわれは、生活の維持向上を求めて年間賃金を引き上げ、格差是正に向け精力的な取り組みを展開した。その結果、前年実績をやや上回って妥結することができた。
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@闘争方針の策定
2015春季生活闘争方針を基準に、要求基準、闘争日程等の2015年度年末一時金闘争方針を次のとおり第5回執行委員会(2015.9.15)で決定した。
要求基準を「基準内賃金の2.5ヶ月以上、または、750,000円」とする。
闘争日程は、統一要求日10月23日、回答指定日10月30日、解決目標日11月6日と定め、早期解決を目指すこととした。
A要求提出状況
要求は11月上旬までに出揃い提出を完了した。
要求内容は年末一時金を単独で闘った組合で、三重一般同盟の要求基準「2.5ヶ月以上」に対し単純平均で2.62ヶ月となり多くの組合で基準を上回る要求となった。
B闘争結果
年末一時金闘争の妥結結果は、大企業全体で前年比4%弱上昇し、夏から引き続き好調なことから業績が拡大し景気の回復感が進んでいることが明らかになった。
三重一般同盟の妥結は集計のできる組合の単純平均では、妥結額平均が586,492円、月数で2.35ヶ月であり、金額、月数ともに、微減となり不満な結果となった。年間では平均額で微増となる結果を引き出したが、大企業が獲得した金額水準からすると、今期の夏期・年末一時金でも格差是正には遠くその思いからすると満足できるものではなかった。 |
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3.退職金と労働協約の整備について |
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秋季生活改善闘争期間に10〜11月を設定し、@退職金水準の引き上げ、A労働協約の締結・改訂を柱とする「2015年度下期経済闘争(秋闘)方針」を策定し、闘いを推進した。
労働協約の締結・改訂については、最近の法改正への対応、改訂見直しの重要性、各種社内規定との整合性などに留意し、労使交渉を進めるよう加盟組合に指示した。 |
4.三重県最低賃金の改正について |
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零細未組織労働者の賃金に大きな影響力をもつ最低賃金が、三重県最低賃金審議会において審議され、発行された。三重県最低賃金(地域最賃)は昨年に引き続き改定され、産業別最賃も全産業で改定された。しかし、引き上げ金額は地域最賃18円(2.33%)となり、長年据置かれていた鋳鉄鋳物や一般機械は三重県最低賃金(地域最賃)まで引き上げられ、その他の産別最賃も14円〜15円の引き上げとなったが今年も小幅に止まり抜本改正にはほど遠い状況である。 |
5.2016年度春季生活闘争対策について |
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(1) 賃金セミナーの開催
春季生活闘争に臨む情勢の把握と交渉力の引き上げをはかるため、加盟組合三役と企業の 労務担当を対象とした賃金セミナー(春季生活闘争研修会)を2016年2月5日に開催した。セミナーでは東海財務局津財務事務所・財務課長・加納貴治氏から「最近の経済情勢」について講義がおこなわれた。その後、三重一般同盟・田中書記長から春季生活闘争の取り組みについて説明をおこない、加盟組合における交渉の進め方等の参考とした。
(2) 2016春季生活闘争方針の策定
加盟組合の要求づくりのベースを提起する目的で、2016春季生活闘争方針を第8回執行委員会(2016.1.10)に決定し、全組合に示達した。方針の柱は、@賃金の底上げと格差是正、A定期昇給分の確保と定期昇給制度の確立、Bワークライフバランスの実現、を基本とし、物価上昇に賃上げが追いついていない状況で、賃上げによる生活の維持・向上と格差是正の積極的な取り組みの促進を求めるものとなっている。詳細は、別掲の「2016春季生活闘争方針」を参照のこと。
(3) 賃闘オルグの実施
2016春季生活闘争でも「賃闘オルグ」を実施。今回は三役と書記局が中心となり、加盟組合の執行委員会に出席し、三重一般同盟の方針の徹底を期すとともに格差是正の取り扱いなどの情報交換をおこなった。また会議後は単組執行部との意見交換も実施した。 |
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